歯磨き粉の成分「ハイドロキシアパタイト入り」と「フッ素入り」、どう違う?併用は可能?
2025/11/20
こんにちは、枚方市樟葉、くずはモール内の歯医者、たかぎ歯科クリニックです。
「歯磨き粉、どれを選んだらいいの?」
そうお悩みの方、多いのではないでしょうか。
ドラッグストアに行くと、ずらりと並んだ歯磨き粉の棚。その中でよく見かけるのが、「ハイドロキシアパタイト」と「フッ素」という成分です。
この2つ、似たような効果と考えている方も多いかと思いますが、実は全く異なる働きをします。
そして、「どちらを使えばいいの?」、「一緒に使っても大丈夫?」という疑問もよく耳にします。
そこで今回は、この2つの成分の違いと効果、そして賢い選び方・使い方について、詳しくお話しします。
ハイドロキシアパタイトとは?歯の成分そのもの!
ハイドロキシアパタイトの正体と役割
まず、ハイドロキシアパタイトについてです。
これは私たちの歯や骨の97%以上を構成している、リン酸カルシウムの一種です。つまり、歯の主成分そのものなのです。
歯の表面にあるエナメル質は、食事や飲み物によって毎日少しずつ溶けています(脱灰)。
この状態が続くと、やがて虫歯になってしまいます。
そこで重要になるのが、再石灰化です。
唾液に含まれるミネラルが溶け出した歯の表面に戻り、元の健康な状態に戻そうとする働きのことです。
ハイドロキシアパタイトを配合した歯磨き粉を使うと、この再石灰化を強力にサポートします。
ハイドロキシアパタイトは、歯を傷つけることなく、歯を強くし、美しくするという理想的な成分です。
ハイドロキシアパタイトの3つの効果
再石灰化を促進し、初期虫歯を修復する
歯の表面にある目に見えない小さな傷や凹み、脱灰によってできた部分を、ハイドロキシアパタイトの粒子が埋め、なめらかにしてくれます。
これにより、初期の虫歯であれば、削ることなく修復する効果が期待できます。
プラーク(歯垢)を吸着・除去する
ハイドロキシアパタイトには、プラークの主成分である細菌や食べかすを吸着する性質があります。
歯磨きによって、歯の表面にこびりついたプラークを効果的に取り除き、虫歯や歯周病の原因を根本から除去します。
歯を白く、ツルツルに磨き上げる
歯の表面のミクロな傷や凹みを埋めることで、光の乱反射が抑えられ、本来の歯の透明感やツヤがよみがえります。
また、着色の原因となるステイン(ヤニ、茶渋など)が付着しにくくなるため、歯本来の自然な白さを保つことができます。
フッ素とは?虫歯予防の定番成分!
フッ素の正体と役割
次に、フッ素についてです。こちらは、ミネラルの一種です。水道水や緑茶など、身近な食品にも含まれています。
歯科医院で虫歯予防として使われることが多く、歯磨き粉の成分としても広く知られています。
フッ素は、ハイドロキシアパタイトとは異なり、歯の成分そのものではありません。
フッ素の主な役割は、歯の質を強くし、虫歯菌の活動を抑制することです。
フッ素は、歯を強くして虫歯を予防するという、予防歯科の分野で非常に重要な役割を果たしています。
フッ素の3つの効果
歯の再石灰化を促進し、歯質を強化する
フッ素は、唾液中のカルシウムやリン酸と結合し、フルオロアパタイトという硬い結晶を形成します。
これにより、酸に溶けにくい強い歯に生まれ変わり、虫歯への抵抗力を高めます。
虫歯菌の活動を抑制する
虫歯菌は、糖分をエサにして酸を作り出し、歯を溶かします。
フッ素は、この虫歯菌の酵素の働きを阻害し、酸の生成を抑える効果があります。
初期虫歯の再石灰化を助ける
脱灰が始まった初期の虫歯部分にフッ素が付着することで、再石灰化を促し、歯を修復する手助けをします。
ハイドロキシアパタイトとフッ素、どう違う
この2つの成分の違いを、分かりやすく表にまとめました。
| 特徴 | ハイドロキシアパタイト | フッ素 |
|---|---|---|
作用機序 |
歯とほぼ同じ成分が、歯の表面のミクロな傷や凹みを埋めて修復・再石灰化を促す |
歯の表面に働きかけ、酸に強いフルオロアパタイトの膜を形成し、歯を強化する |
成分の由来 |
歯の主成分(歯や骨の97%以上) |
天然のミネラル(土壌、水、食品など) |
虫歯予防 |
歯の欠損を埋めることで、細菌の付着を防ぎ、初期虫歯を修復する |
歯を酸に溶けにくくすることで、虫歯を予防する |
審美効果 |
歯の表面をなめらかにし、光沢とツヤを与え、自然な白さを保つ |
歯の色そのものを変える効果は期待できない |
向いている人 |
・初期虫歯がある人 |
・虫歯になりやすい人 |
簡単に言うと、ハイドロキシアパタイトは「歯を修復し、美しくする」成分、フッ素は「歯を強くし、虫歯から守る」成分です。
【お悩み別】フッ素とハイドロキシアパタイト、あなたにぴったりの選び方・使い方
| あなたのお悩みは? | おすすめの成分 | なぜこの選び方なの? |
|---|---|---|
とにかく虫歯を予防したい |
フッ素 |
フッ素は歯の表面に取り込まれ、酸に強い「フルオロアパタイト」という物質を形成します。 |
歯の表面のザラつきが気になる |
ハイドロキシアパタイト |
歯の主成分と同じアパタイトが、歯の表面のミクロな傷や凹みを埋めて修復します。 |
虫歯も気になるし、歯もツルツルにしたい |
フッ素+ハイドロキシアパタイト |
フッ素で歯の内部から歯質を強化し、アパタイトで歯の表面を修復・保護することで、虫歯予防と審美効果の両方を叶えることができます。 |
知覚過敏が気になる |
ハイドロキシアパタイト |
薬用ハイドロキシアパタイトが、象牙質の露出した部分にある微細な穴(象牙細管)を埋めることで、外部からの刺激が神経に伝わりにくくなり、知覚過敏症状を緩和します。 |
ハイドロキシアパタイトとフッ素は併用できる?
結論から申し上げますと、全く問題ありません。
むしろ、両方の成分を併用することで、より高い効果が期待できます。
ハイドロキシアパタイトは、歯の表面の傷や凹みを埋めて滑らかにし、フッ素は歯質そのものを強くします。
この2つの成分は、それぞれ異なるアプローチで歯を守るため、お互いの弱点を補い合い、相乗効果を発揮します。
フッ素で歯質を強化し、ハイドロキシアパタイトで歯の表面を整えることで、より強力な虫歯予防と、美しい口元を両立することができるのです。
2つの歯磨き粉を使い分ける
例えば、朝はフッ素配合の歯磨き粉でしっかり虫歯予防。
夜はハイドロキシアパタイト配合の歯磨き粉で、日中の食事で傷ついた歯の表面を修復し、ツヤを出す。
このように朝と夜で使い分けるのも効果的です。
ハイドロキシアパタイト配合の歯磨き粉を選ぶ際のポイント
ハイドロキシアパタイトは、「薬用ハイドロキシアパタイト(mHAP)」という名称で配合されているものがおすすめです。
これは、厚生労働省に認可された医薬部外品で、歯の再石灰化やエナメル質の修復効果が認められている成分です。
【当院の治療メニュー】ハイドロキシアパタイトとフッ素の効果を最大限に引き出す
当院では、ご自宅でのケアに加え、歯科医院でのプロフェッショナルなケアによって、より健康的で美しい歯を保つお手伝いをしています。
特に、ホワイトニング、審美治療、予防歯科に力を入れている当院ならではのメニューをご紹介します。
エナメルトリートメント
特殊な薬剤を使用し、歯の表面の着色を化学的に除去します。
その後、歯の再石灰化成分であるハイドロキシアパタイトを使用して、ミクロな凹みや傷を埋めていきます。
従来の歯を研磨する方法とは異なり、歯を傷めることなく、艶やかで本来の輝きを取り戻すことができます。
ミネラルパック
歯面清掃を行った後、高濃度ミネラル剤「MI Paste」を使って歯の表面をパックします。
このミネラル剤には、歯の再石灰化に必要なカルシウムとリンが豊富に含まれています。
MI Pasteは、フッ素と併用することで、さらに歯の再石灰化を促進する効果が期待できます。
※注意:牛乳由来の成分が含まれているため、牛乳アレルギーの方はお受けいただけません。
フッ素コーティング
歯面清掃を行った後、歯質強化剤である高濃度のフッ素を歯全体に塗布し、パックします。
ご自宅で使用する歯磨き粉のフッ素よりも高濃度であるため、より効果的に歯の質を強くし、虫歯菌の活動を抑制します。
【お悩み別】あなたにぴったりのメニューをナビゲート
| あなたのお悩みは? | おすすめのメニュー | なぜこの組み合わせなの? |
|---|---|---|
歯の表面がザラザラしている |
エナメルトリートメント |
歯の表面のミクロな傷や凹みをハイドロキシアパタイトで埋めることで、ツルツルで艶やかな歯を取り戻します。 |
歯磨きしているのに、虫歯になりやすい |
ミネラルパック + フッ素コーティング |
歯の再石灰化を促すミネラルと、歯質を強化するフッ素を組み合わせることで、酸に強い歯を作り、虫歯リスクを徹底的に減らします。 |
冷たいものが歯にしみる(知覚過敏) |
エナメルトリートメント + ミネラルパック |
知覚過敏の原因となる歯の表面の欠損やミクロな穴を、ハイドロキシアパタイトやミネラルで埋めてコーティングし、刺激が神経に伝わるのを防ぎます。 |
矯正治療中で、歯のケアが心配 |
ミネラルパック + フッ素コーティング |
矯正装置を装着していると、歯磨きが難しくなり虫歯リスクが高まります。高濃度ミネラルとフッ素で、歯全体を内側と外側からしっかり守ります。 |
ホワイトニング後の白さを長持ちさせたい |
エナメルトリートメント |
ホワイトニングで白くなった歯の表面をハイドロキシアパタイトでコーティングすることで、再着色を防ぎ、白さとツヤを持続させます。 |
お子さまの虫歯予防をしっかりしたい |
フッ素コーティング |
生えたばかりの永久歯は虫歯になりやすく、フッ素を取り込みやすい状態です。定期的なフッ素コーティングで、強い歯質を育みます。 |
歯と歯の間、歯周ポケットの汚れが気になる |
ミネラルパック + フッ素コーティング |
高濃度ミネラルとフッ素が、歯ブラシの届きにくい部分まで行き渡り、虫歯や歯周病の原因菌から歯を守ります。 |
ご自身の歯の状態やライフスタイルに合わせて、最適な組み合わせをご提案します。
まずはお気軽にご相談ください。
この記事の著者 高木 一徳
医療法人たかぎ歯科クリニック 院長
歯学博士|大阪歯科大学 卒業
大阪歯科大学大学院にて補綴・顎関節症を研究後、京都市の歯科医院で多数の患者を診療。
「悪くなってから治す」の繰り返しを変えたいという思いから、2005年に予防を重視した当院を開業。
現在はワンコインホワイトニングや審美治療にも注力し、年齢を問わず美しい口元づくりをサポートしている。
スタッフと共に学び続け、より良い治療とホスピタリティ向上に努めている。
経歴
平成7年 大阪歯科大学 卒業
平成11年 大阪歯科大学大学院 修了(京都市の歯科医院で勤務)
平成12年 大阪歯科大学欠損歯列補綴咬合学講座 講師
平成17年 たかぎ歯科クリニック 開業
所属学会
日本補綴歯科学会
日本顎関節学会
日本審美歯科学会
抗加齢歯科医学研究会
ドライマウス研究会
医療法人たかぎ歯科クリニック:https://www.takagi-dc.jp/
〒573-1121 大阪府枚方市楠葉花園町15-1 くずはモール本館1F
電話:072-855-4618
交通アクセス
電車でお越しの方:
京阪本線「樟葉駅」改札出て正面のくずはモール本館へ
