「歯のクリーニングだけ」で歯医者に行っても大丈夫?保険は使える?
2025/09/22

こんにちは、枚方市樟葉の歯医者「たかぎ歯科クリニック」です。
「歯のクリーニングだけで歯医者に行ってもいいの?」
「クリーニングに保険は使えるの?」
「歯の黄ばみやヤニは、保険で綺麗にしてもらえるのかな?」
こういった疑問は、多くの患者さまからいただきます。
結論からお伝えすると、歯のクリーニングだけのために歯医者に行くのは、まったく問題ありません。
むしろ、お口の健康を維持し、虫歯や歯周病を予防するためには、定期的なクリーニングが非常に重要です。
ここでは、歯医者で行うクリーニングの種類から、保険診療と自由診療の違い、それぞれのメリット・デメリット、そしてあなたの目的に合った選び方まで、詳しく解説します。
歯医者でのクリーニング、実は「2つの種類」がある
歯医者で行うクリーニングは、大きく分けて「治療目的」と「予防・美容目的」の2つの種類があります。
この目的の違いが、保険が使えるかどうかの大きな分かれ目になります。
1. 治療としてのクリーニング(保険診療)

保険診療のクリーニングは、主に「歯石取り」が中心となります。
これは、歯周病や虫歯を予防・治療する「医療行為」とみなされるためです。
なぜ歯石取りが「治療」なの?
歯石は、歯磨きで取りきれなかった歯垢(プラーク)が唾液中のミネラルと結合して、石のように硬くなったものです。
歯石の表面はザラザラしていて、さらに多くの細菌が付着しやすい環境を作り出します。
これらの細菌は、歯茎に炎症を引き起こし、最終的には歯を支える骨を溶かしていく「歯周病」の原因となります。
また、歯周ポケット(歯と歯茎の間の溝)に潜む細菌は、全身の健康にも悪影響を及ぼす可能性が指摘されています。
そのため、歯石を取り除くことは、病気を治療し、予防するための大切な処置と位置づけられています。
保険診療のクリーニングでできること
歯石の除去
超音波スケーラーや手用のスケーラーという専用の器具を使って、歯周ポケットの奥まで丁寧に歯石を取り除きます。
歯周ポケット内の清掃
歯周病が進行している場合、歯と歯茎の間にできた歯周ポケット内の歯石や汚れを徹底的に除去します。
保険診療のクリーニングの限界
保険診療は「病気を治すこと」が目的のため、着色汚れやヤニの除去は原則として対象外です。
歯周病治療の一環として、一部の着色汚れが除去されることはありますが、あくまでもメインは歯石の除去です。
そのため、「歯を白くしたい」「ヤニを綺麗にしたい」といった美容目的のクリーニングには対応できません。
また、保険治療のクリーニングの場合、上下の歯石を一度に取らず、数回に分けることがあります。。
これは保険診療のルール上、治療計画に沿って進めるためです。
保険クリーニングの特徴
主な対象は歯石
目的は病気の治療・予防
歯周病や歯肉炎などの診断が必要
着色やヤニは対象外
複数回に分けて行うこともある
2. 予防・美容としてのクリーニング(自由診療)

自由診療のクリーニングは、「歯の美しさ」と「清潔感」を追求することを目的としています。
保険診療では対応できない着色汚れやヤニを徹底的に除去し、歯本来の白さとツヤを取り戻します。
自由診療のクリーニングでできること
着色汚れ・ヤニの徹底除去
保険診療では取りきれない、コーヒーや紅茶、タバコなどによる頑固な着色汚れやヤニを、専用の機器と薬剤で徹底的に除去します。
ポリッシング
特殊な研磨ペーストと柔らかいブラシ、またはラバーカップを使って歯の表面をツルツルに磨き上げます。
歯の表面が滑らかになることで、汚れが再付着しにくくなり、予防効果も高まります。
専用の機器と薬剤
歯医者によって異なりますが、最新のクリーニング機器や高品質な研磨剤を使用することで、より高いクオリティの仕上がりを目指します。
自由診療のクリーニングの特徴
着色汚れ(コーヒー、紅茶、赤ワインなど)を除去
タバコのヤニもスッキリ
専用の機器と特別な研磨剤を使用
歯面をつややかに仕上げ、汚れの再付着を予防
一度で上下すべての歯を仕上げられる
保険治療と自費治療のクリーニング、通院回数に大きな違いがある理由

歯のクリーニングには、保険診療と自由診療の2種類があることは前述の通りです。
この2つの大きな違いは、「治療目的か」「美容・予防目的か」にあります。
そして、この目的の違いが、そのまま通院回数の違いとなって現れます。
結論から言うと、保険診療のクリーニングは複数回の通院が必要になることが多く、自由診療のクリーニングは1回の通院で完了することが多いです。
保険診療のクリーニング:なぜ複数回通院が必要なの?

保険診療のクリーニングは、「歯周病の治療」として行われます。
そのため、保険制度のルールに則って、段階的に治療を進めていく必要があります。
保険診療の通院回数が多くなる理由
「検査」と「治療」の分離
保険診療では、まず最初に口腔内の状態を正確に把握するための検査(歯周ポケット測定、レントゲン撮影など)を行います。
そして、その検査結果をもとに「歯周病」と診断された場合に、初めて治療(歯石除去)へと進むことができます。
この「検査」と「治療」は、原則として同日に行うことは認められていません。
治療範囲の制限
歯石除去は、歯周病の進行度合いによって、一度に処置できる範囲が決められています。歯周病の治療は、以下のように段階を踏んで進められます。
歯肉縁上(歯茎の上)の歯石除去
歯石除去の処置は、まず歯茎の上にある目に見える部分から行われます。
しかし、お口全体を一度に行うことは認められておらず、上下の顎に分けて行われるのが一般的です。
そのため、この段階だけで最低2回の通院が必要となります。
歯肉縁下(歯茎の中)の歯石除去(SRP)
歯周病が進行し、歯茎の奥深く、歯周ポケット内に歯石がある場合は、「歯肉縁下歯石除去(SRP)」という処置が必要になります。
この処置は麻酔を伴う場合もあり、非常にデリケートなため、さらに細かく上下左右など数回に分けて行われます。
重度の歯周病の場合、この段階だけで4~6回、場合によってはそれ以上の通院が必要になることもあります。
経過観察と再評価
歯石除去後、歯茎の状態が改善したかを確認するための経過観察期間が設けられます。
その後、再度検査を行い、治療の効果を評価する「再評価」というステップが必要です。
この一連の流れは、歯周病を根本的に改善するために非常に重要であり、これも通院回数を増やす要因となります。
このように、保険診療のクリーニングは、法律で定められた「治療の流れ」に沿って進めるため、結果として複数回の通院が必要になるのです。
軽度であれば2回程度で済むこともありますが、歯周病が進行している場合は、5回以上かかることも珍しくありません。
自由診療のクリーニング:なぜ1回の通院で済むことが多いの?

自由診療のクリーニングは、保険診療のような厳格なルールや制約がありません。
そのため、患者さまのご要望に合わせて、フレキシブルな対応が可能です。
自由診療の通院回数が少なくなる理由
一回の施術で全顎に対応
自由診療では、「保険のルール」という制約がないため、患者さまのご希望に応じて、一度の通院でお口全体の歯石や着色汚れを除去することができます。
これにより、通院回数を大幅に短縮することが可能です。
施術時間の確保
自由診療では、1回の診療時間を十分に確保できます。
時間をかけて丁寧に、着色除去、歯石除去、ポリッシング、フッ素塗布など、必要な処置をすべて行うことができます。
美容・予防目的での施術
自由診療は「美容・予防」が主目的であるため、検査や再評価といった治療目的のステップを省略することができます。
もちろん、お口の健康状態を確認することは非常に重要ですが、患者さまが着色除去のみを希望される場合など、目的に応じて柔軟に対応できます。
自由診療のクリーニングは、患者さまの「1回の通院で、できるだけ早く、きれいにしたい」というニーズに応えることができるのが最大のメリットと言えるでしょう。
保険診療と自由診療の違いを表で比較
項目 | 保険診療クリーニング |
自費診療クリーニング |
---|---|---|
主な目的 |
歯周病治療・予防 |
美観の向上・予防 |
内容 |
歯石除去 |
歯石除去+着色・ヤニ除去 |
回数 |
複数回に分ける場合あり |
1回で全体仕上げ |
使用機器 |
超音波スケーラー中心 |
専用機器+研磨剤 |
仕上がり |
健康維持が主 |
つややかで美しい |
保険適用 |
あり(条件付き) |
なし |
費用 |
約3,000円(3割負担) |
医院により異なる(当院では4,400~11,000円) |
クリーニングで歯は白くなる?ホワイトニングとの違い

「クリーニングで歯を白くしたい」というご要望はよく耳にします。
自由診療のクリーニングは、着色汚れを落とすことで歯が本来持っている白さを取り戻すことができます。
これは、歯の表面についた「くすみ」を消すイメージです。
しかし、歯そのものの色(象牙質の色)を白くする効果はありません。
歯の色自体を白くしたい場合は、ホワイトニングという別の施術が必要です。
ホワイトニングは、専用の薬剤を使って歯を漂白する処置です。
クリーニングで歯の表面の汚れを落とした後に行うと、薬剤が歯に浸透しやすくなるため、よりホワイトニングの効果が高まります。
まとめ:気軽に歯医者でクリーニングを受けよう

「歯のクリーニングだけ」のために歯医者に行くのは、まったく気にする必要はありません。
歯のクリーニングは、お口の健康と美しさを保つための、前向きで素晴らしい習慣です。
大切なのは、ご自身の目的に合わせたクリーニング方法を選ぶことです。
虫歯や歯周病予防が目的なら保険診療
見た目の美しさや清潔感を求めるなら自由診療
まずは歯科医師に相談し、ご自身のお口の状態や希望に合ったクリーニング方法を見つけることが大切です。
定期的なクリーニングで、健康で自信あふれる笑顔を手に入れましょう。
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